< 高齢者の継続雇用就業対策 >
急速な高齢化が進行している日本の労働市場においては、高齢者の就業が重要視され、高齢者が持つ豊富な知識や経験を社会全体で活用しつつ、健康的かつ安全に働き続けるための環境整備が求められます。
今回は、高齢者の就業状況、高齢者雇用に関する法令、雇用に関する留意点を解説します。
1 高齢者の就業状況
今回の制度改正は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするために行われたもので、次の3つに大別することができます。
(1)高齢化の状況
令和6年版「高齢社会白書」によると、日本の総人口は、令和5年10月時点で約1億2千万人となり、そのうち65歳以上人口は約3千6百万人、総人口に占める割合は約29%となりました。
将来の推計では、令和19年には国民の3人に1人、令和52年には2.6人に1人が65歳以上となる社会が到来すると見込まれています。
(2)高齢者の労働力率の増加
近年、65歳以上の高齢者の労働力率は顕著に増加しています。これは、平均寿命の延びとともに、高齢者の健康寿命も延長していることが大きな要因です。
(3)雇用形態の変化
高齢者の多くは、定年後の再雇用制度や、パートタイム、嘱託、契約社員といった非正規雇用の形で働いています。
非正規雇用の割合は男女差があり、男性の場合は50代後半で約11%であったものが、60歳を境に大幅に上昇し、60代後半では約68%となります。女性は、50代後半で約59%であったものが、60代後半では85%まで増加します。
2 高齢者雇用安定法
(1)高年齢者雇用確保措置
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、希望者全員について65歳までの雇用が確保されるよう、事業主に対し、次のいずれかの措置を講じるよう義務付けています。
@ 65歳までの定年引上げ
A 定年の定めの廃止
B 65歳までの継続雇用制度の導入
(2)高年齢者就業確保措置
(1)に加えて、令和3年4月からは70歳までの就業機会を確保するため、次のいずれかの措置を講じる努力義務が課されています。
@ 70歳までの定年引上げ
A 定年の定めの廃止
B 70歳までの継続雇用制度の導入
C 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
D 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入
(3)高齢者雇用確保措置の実施状況
令和5年「高齢者雇用状況報告」の集計結果により、企業の65歳までの高齢者雇用確保措置の実施状況を見ると、採用割合は次のようになっていました。
@ 定年引上げ・・・約27%
A 定年の定めの廃止・・・約4%
B 継続雇用制度の導入・・・約69%
3 雇用に関する留意点
(1)雇用時の留意点
@業務内容の適正化
A就業時間の柔軟性
B教育・研修
(2)安全・健康面の留意点
@職場の安全対策
A定期的な健康診断
B職場環境の改善
Cガイドライン
詳しい内容は、事務所だより1月号に掲載しておりますので、ご参照ください。
*その他「<雇用保険>育児休業給付金支給対象期間延長手続きの改正」「年次有給休暇の取得促進(年5回)」等についても取り上げています。
詳しい内容は今月号の長尾事務所だよりをご覧ください。
*税務関係では「償却資産申告と法定調書」「非常用食料品の取り扱い」等についてのパンフレットを用意しました。
ご希望の方には差し上げます。
「長尾事務所だより1月号」、ご希望の方には郵送いたします。
ご相談・ご質問受け付けております。お気軽にご連絡ください。
(042-523-5678) |