< 雇用保険 教育訓練休暇給付金の創設 >
令和7年10月1日より、雇用保険に新たな給付制度として「教育訓練休暇給付金」が加わります。これまでも働く人の学びを支援する制度として「教育訓練給付金」がありましたが、今回の給付金は「仕事を休んで学ぶこと」を前提とした新しい制度です。企業にとっても、社員のリスキリング(再教育)やキャリア形成を支援する際に活用が期待できます。
一 給付金創設の背景
創設の背景には、労働者が自発的に教育訓練に専念するために仕事を離れる場合、訓練期間中の生活費を支援する仕組みがないことや、離職者を含め、労働者が生活費の不安なく主体的に能力開発に取り組める環境を整える必要がある、といったような課題がありました。
これらに対応するため、雇用保険の被保険者が教育訓練を受けるために無給の休暇を取得した場合に、その間の生活を支援し、安心して学びに専念できる環境を整えることを目的として「教育訓練休暇給付金」が創設されました。
「教育訓練給付」は、従来からある「教育訓練給付金」と「教育訓練休暇給付金」により校正されることとなります。
二 教育訓練休暇給付金の概要
(1)対象者・支給要件
対象者および支給要件は、次のとおりです。
◎雇用保険の一般被保険者
◎休暇開始前2年間にみなし被保険者期間が12か月以
上あること
◎休暇開始前に算定基礎期間が5年以上あること
(2)給付内容
離職した場合に支給される基本手当と同様の方法により
算出された額を支給。給付日数は、算定基礎期間に応じ
て、90日、120日または150日となります。
(3)手続きの流れ
@事業主は、教育訓練休暇開始日の翌日から起算して
10日以内に、「雇用保険被保険者教育訓練休暇開始
時賃金月額証明書」を、事業所所在地を管轄するハロ
ーワークに提出します。
提出時に、教育訓練休暇の取得が要件を満たしている
ことが確認されます。
A賃金月額証明書を提出後「雇用保険被保険者教育訓練
休暇開始時賃金月額証明票」の交付を受けた事業主は、
速やかに賃金月額証明票を被保険者に受け渡します。
B教育訓練休暇給付金の支給を受けようとする被保険者
は、賃金月額証明票とともに、「教育訓練休暇給付金
支給申請書」を本人の居住地を管轄するハローワーク
に提出します。
(4)支給対象となる日
労働協約、就業規則等により設けられた制度に基づき、
自発的に教育訓練休暇を取得した場合に、その期間内の
自己の労働によって収入を得ていない日について支給さ
れます。
なお、期間は1年以内です。教育訓練休暇を取得してい
ることの認定は、ハローワークにおいて、休暇開始日か
ら起算して30日に1回ずつ直前の30日の各日につい
て行われます。
(5)対象教育訓練
次の教育訓練が対象です。
◎学校教育法に基づく大学、高等専門学校、専修学校又
は各種学校が行う教育訓練
◎教育訓練給付金の支給対象として厚生労働大臣の指定
を受けた講座を実施する施設が行う教育訓練
◎その他職業に関する教育訓練として職業安定局長が定
めるもの
三 教育訓練に関する助成金
職務に関連した専門的な知識および技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を事業主に対して助成する「人材開発支援助成金」が設けられています。
当該助成金コースの一つとして「教育訓練休暇等付与コース」があり、次の3つにより構成されています。
(1)教育訓練休暇制度
(2)長期教育訓練休暇制度
(3)教育訓練短時間勤務等制度
四 就業規則の記載例
教育訓練休暇に関する就業規則の記載例として、短期休暇・長期休暇の2つの例を掲げます。(事務所だより9月号参照)
詳しい内容は、事務所だより9月号に掲載しておりますので、ご参照ください。
*その他「36協定等の本社一括届出(拡充)」「協会けんぽ 『資格情報のお知らせ』を紛失したとき」等についても取り上げています。
詳しい内容は今月号の長尾事務所だよりをご覧ください。
*税務関係では「備えあれば憂いなし!中小企業防災・減災投資促進税制」「教育資金の一括贈与〜贈与者が死亡した場合」等についてのパンフレットを用意しました。
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